続・帰ってきたはぐれ日記

@えりえりの個人ブログ ネットまわりのことを主に書いていきます

性癖と文学

難しい話なので、あえて掘り下げず、端的に読書感想文として(笑)

河野多惠子氏の短編を読んだ。
わたしが生まれた頃に芥川賞をお取りになった方で、この作品集も1960年代の作品がおさめられている。

幼児狩り,蟹 (新潮文庫 こ 9-1)

マゾヒズムと幼児偏愛(男児への執着)と
あとは……脆弱な体……かなぁ。
谷崎潤一郎をこよなく愛されているというのも、頷ける。

わたしは、タイトル作を含め、ヒットする性癖、あるいは『萌え』がなかったので(笑)
唯一、『雪』というのに、アイタタタ……と言う感覚を覚えた。

こちらは、母と娘の歪んだ関係を描いているが
たんなる心因的なものではなく、妾の子を、殺した自分の子の身代わりに仕立てる母親の
静かな狂気が、ああ……戦後だ……と思わせてくれる短編。

角田光代氏の、今話題の作品も
たしか誘拐した子を育てる女の母性を描いていたと思うが(こちらは未読)

この『雪』のほうは、身代わり(というか虐めるために)育てられた娘視点で描かれているので

「初めは虐めるためだったろうけど
それでも、わたしは母に愛があったのではないかと思う。わたしはないけど」的な

壊れた母性をぶつける母に、自身を潰された娘側の痛みと癒しという、二重の歪みをフィルターにかけられ
若干、アタマが痛かった。

同じテーマを書いても、内面を内面のまま、言葉へぶつけるのが
ああ……純文学だなぁ……と。

ただ、この方は比較的、読みやすい平易な言葉をお使いになるので
そういう意味でのつらさはなく
短編であるが、作品構成の凝り方なども、全くない。

ただ、全編『わたし肯定』視点で、きわめて主観的に描かれているため
客観性がほとんどなく
人物像が曖昧な作品、いくつかでは
展開の裏側、なんでそうなったを読み取るのに苦労する。

雪はその点、人物像がしっかりしていてわかりやすかった。


でも、読むのは辛くても、たぶん書くのは嫌いじゃない(笑)
平成の書き方が求められるのは、承知の上で。


純文学も書きようだよなぁ……