続・帰ってきたはぐれ日記

@えりえりの個人ブログ ネットまわりのことを主に書いていきます

デクスター

シーズン1を見終わって、2の頭を見始めたところ。面白い。

2に関してはドラマオリジナルのストーリーということで、この先期待して見ていくつもりだが
1の面白さは、まさに原作である長編ミステリー小説を読んでいるかのようだ。
そういった点で、最後の最後までみなくては、絶対に勿体ないストーリー展開で
一話ごとにエピソード完結していたり、時間経緯にスリリングな要素が盛り込まれているようなタイプのドラマとは全く違う。
映画で言うところの、途中で席を立つなって感じ。

ネタバレ、あらすじは以下────

物語の主人公のデクスターは、マイアミ警察に勤務する非常に優秀な科学分析官であり
尊敬する亡き養父も警官、愛する義妹も警官という、まさに正義を尊ぶ家庭に育ったのだが
幼い頃の心の闇から、生き物の死とそれが流す血に魅せられている。
そんな彼を養子として引き取り、我が子以上に愛情を注いで育て上げた義父ハリーは
幼い彼の心の闇を生んだ背景を理解するあまり、彼にハンティングとその掟をたたき込んだ。
義父の教えを絶対のものとしながらも、抗うことの出来ない自らの欲求を満たすため
デクスターが狩りの対象に選んだのは、法が裁ききれない極悪犯罪者たち。
ドラマの冒頭は、
そんな表と裏の顔を使い分けるデクスターと、彼を取り巻く人間模様が描かれる。
また、小説がモノローグ視点で描かれているのを受け継いで
ドラマ中、非常にデクスターの心の声が多いので、慣れるまでは若干面倒(笑)だが
しだいに、モノローグの必要性もわかってくるので、初めは我慢(笑)
そしていよいよ、
デクスターの殺人方法をさらに緻密に仕立てあげる殺人鬼『冷凍庫キラー』(このネーミングはナイな……確かに)の登場だ。
冷凍庫キラーの犯行は、明らかな『見立て殺人』であるが
捜査する刑事達、メディアの目には、
ただ残忍で冷酷、自己顕示欲の旺盛なシリアルキラー(連続殺人犯)の犯行にしか映らない。
誰にも気づかれないその見立ての仕掛けが、自分自身の思い出に由縁している事に気づいたデクスターは、犯行現場から一つ一つ犯人のメッセージを受け取り
ついに帰宅した冷蔵庫の中に、リボンで飾られたバービーの切断パーツのデコレーションを見付けては
「遊ぼうよ」と誘われた気分にすら陥る。
この辺りの流れはモノローグあってこその展開で、彼自身が同じシリアルキラーであることも踏まえ、非常に面白い。
善なる存在である父の記憶とオーバーラップしながら見せてくれるのも、演出に迷いがない。


こうして
自身がシリアルキラーである主人公デクスターが同じ手口のシリアルキラーに立ち向かう設定で展開するこの物語は
流れの中で、なぜ主人公が殺人を犯すのか
なぜ殺人犯がデクスターに絡んでくるのかという、彼らの過去を搦めた謎解きをサスペンスの手法で描くことにより、進んでいく。


わたしの見たところ
そうした心理分析を踏まえた流れが、90年代以降ミステリーのステロタイプの一つであるゆえに
構成的にも非常にわかりやすく思えた。
また、初っ端から彼らに共感できるかどうかは別にして、
視聴者は事件の裏側を主人公の記憶とともに確認しながら、対決する相手の心の中まできっちりと覗くことができる作りになっている。
やがて、残酷な殺人シーンに目を背けたくなる自分の心が
実は幼い頃の主人公に重なり合っていると気づかされる頃には、もうデクスターから目を離せない。


このドラマの最大の見せ場は、やはり冷凍庫キラーの正体なのだが
ドラマでは、比較的中盤のあたりで、大体の察しが付くように描かれていた。
ミステリーやサスペンスのファンならご存知だろうが、実はこのように、わざわざ中盤当たりで犯人の当たりがつくような導き方をしているストーリーほど、いい意味で『タチが悪い』(笑)
単なる状況的などんでん返しですまされず、心理的な追い打ちが必ずあるからである。
だが、元々シンプルな勧善懲悪の物差しで計れる主人公でないのは、わかりきっている物語だ。
むしろ、犯人の正体があらまし分かった時点で
いやーーな予感が、次々目の当たりに展開されるのを溜め息つきながら
「いや……だって……どうすんだよ、デクシーは……」と
はらはら見守るしかないのだ。

わたしが一番好きなのは、デクスターの脳内映像ともいうべき、馬鹿馬鹿しいラストショットなのだが
このシーンこそ
自分を愛する、真の共感者である兄の手を振り切ったとき
デクスター自身が現実と自分の接点を、再び作り直さなければならない寂しさの裏返しとして
悲しいほどに後を引く映像であるし
アメリカ的なお祭り騒ぎが、実は彼の人生そのものの客観視である皮肉もこめて印象深い。


どちらにしても、このドラマはちょっと違う。
思わずそう唸らせてくれる、血みどろの秀作だった。


シーズン2はそんなデクスターの妄想が死者に向けられるほかは
きわめて現実的な展開であるようだ
前作では、あまりに主人公に都合良かった現実であるが、彼の過去の悪行が露呈していくシーンや
素人目にも状況証拠を残しすぎてて
内部に詳しいやつは全部もみ消せるのか、それとも検挙できないマイアミ警察がど阿呆なのかと首を傾げたくなった、あれこれ(笑)にも、少しずつメスが入っていく。

まだ見始めたばかりなので、以降については差し控えたいが
せんだってのコミコンで、シーズン4の制作も発表になったというこのドラマの行く末が楽しみでならない。